ゴホンゴホン、ハクションニャン！

もう、霧のせいで咳が止まらないニャ、ギャルルン。

ボクたちシューゴは敏感だから、こんな所に長居したらダメなのニャ、ハクション！

早くあれを見つけ出してここから離れたいニャ、ギャルン。
あっ、いま何か言ったかニャン？あれ、どうかしたみたいニャ。ボクだけの秘密を言っちゃったニャ～、ギャルン。

いや、もう仕方ないニャン。こうなった以上はすべて打ち明けるから、助けてもらうニャン、ギャルン。

シューゴの間で伝説といわれるキューブ職人がいるんだニャ。その名も偉大なビン、ダーッ、トォ！ギャル～ン！

ビンダートは100個収納型まで作ったという新記録を持っているんだニャ。それに、彼が作ったキューブの精巧さ、美しさは伝説そのものなのニャ、ギャル～ン。

ビンダートはアイディアを欲しがる者たちに嫌気が差して、ある日アビスから姿を消しちゃったんだニャン。彼の行方は2人の愛弟子以外、誰も知らないニャン、ギャルン。
ところが、あの2人以外にも彼の秘伝を授けられた者がいるんだニャ。それはジャオルンというシューゴだニャ。

彼はタルタロン農場で事件が起きた時、ビンダートから教わったキューブの製作方法を書き記した日記をどこかに隠して死んでしまったんだニャ、ギャルルン！

あれさえ見つかればニャ……見つけることができればニャ……ギャルン！

アンデッドがうようよといるタルタロン農場であの日記を見つけさえすれば、ビンダートの工法をボクたちの工房に広めることができるのニャ、ギャル～ン！

ボクのためにあれを探し出してきてくれないかニャン？
助かったニャ、ギャルン。

きっとタルタロン農場のどこかにジャオルンの日記帳があるはずニャ、ギャルルン。

でも、気をつけてニャ。アンデッドも怖いけど、ジャオルンの日記帳を血眼になって探すシューゴがたくさんいるんじゃないかニャ、ギャルン。
ゴホンゴホン、タルタロン農場に行ってきたかニャン？

日増しに咳はひどくなるし、これ以上ここにいたら体がガタガタになっちゃうニャ、ギャルン。

でも、ビンダートのキューブの作り方さえ手に入れば、こんな場所とはおさらばニャン、ハ～ックション。

持ってきたものがあれば、出してみてニャ、ギャルン。
見つからなかったのかニャン？

でも、ジャオルンは確かにタルタロン農場にいたんだニャ。

彼のことを知っているディーヴァから聞いた話だから間違いないニャ、ギャルン。

だから、ぜ～ったいタルタロン農場に何か、ジャオルンは残しているはずニャ。

もっとよく探してみてニャ、ギャルルン！
どうしたニャン？

何か珍しい物が手に入る浮遊島でも見つけたのかニャ、ギャルルン。

それとも、隠れて探していた物でも見つかったのかニャ、ギャル～ン。

早く言ってみてニャン。
ありもしない物を持ってきたって言ったのかニャ？ふざけているのかニャ。

そんなに悪ふざけしたいなら、よそに行ってニャ。

こっちはふざけている暇なんかないニャン、ギャルン。
本当に見つけたんだニャン。これはジャオルンの日記ニャ、探していたものだニャ～、ギャルン！

あんな戦場のような場所でこんなにキレイに残っているなんて思っていなかったニャ、ギャル～ン。

キューブの作り方！ビンダートのキューブの作り方はどこかニャ、ギャルルン！

(日記帳を素早くめくる)

あったニャ！ビンダートから伝授されたキューブ製作の秘密ニャ！バンザ～イ！ギャルル～ン！

ありがとうニャ、ディーヴァ！ボクの恩人だニャン！
ニャ、これは何ニャ？まさかニャン、ギャルン！

これはタルタロン農場で死んだというビンダートの弟子、ジャオルンの日記帳じゃないかニャ？

(日記帳をめくる途中、いきなり目を大きく開く)

ニャニャッ！ビンダートが命をかけて大切に守り通したキューブの作り方が載っているニャン。

もしもこの文書が流出したら、多くのシューゴに悪用されてしまうニャ。ボクの所に持ってきてくれてよかったニャ、ギャルルン。