(古い巻き物だ)

(読んでみると、池の中に老いたディーヴァが住んでいるという話だ)

(事実なのか確認したくなった)
何の用だ？

なぜ気持ちよく寝ている人間を起こすのだ！年寄りから休養を奪うなんて。

申し訳ないと詫びるどころか、何をえらそうにじっと見ているのだ、このたわけ者め！

最近の若者はまったくなっとらん。
つまり、池に斧を落としたってことか。

見たところ、おぬしは木こりではなさそうだが、なぜ斧を持っていたのかね？

一目で木じゃなく、獣を狩るとわかるような面の者が。

どれどれ……さあ、この金の斧が、おぬしの落とした斧か？
本当にこれがおぬしが落とした斧か？

身なりもみすぼらしいおぬしが、どこで金の斧を買えるくらいのギーナを作ったんだ？

もう一度聞くぞ。これが本当におぬしのものか？
そうか、金の斧はおぬしのものではないとな？

まあ、金の斧を買う財力があれば、そんな格好をしているはずないからのう。

ふむ、では、この銀の斧がおぬしの落とした斧か？
本当にこの銀の斧は、おぬしのものか？

この斧は、柄を布で巻いてあるから、そんなに簡単に手から滑ることはないはずだが……。

これが木に刺さっていたところを抜く時に落としたと言うのか？
銀の斧もおぬしの斧ではないということか。

では、この鉄の斧がおぬしの落とした斧か？

おまえに一番似合いそうだな。
そうか、この鉄の斧がおぬしの落とした斧なんだな。

今回は間違いないだろうな？

見間違えたのなら、今言うんだ。
これっ、このたわけ者が！

おまえが鉄の斧を投げるのを、最初からすべて見ていたのじゃ。

誰の前で嘘をつくつもりか！

わしの前からとっとと消え失せろ！
実は、おぬしが鉄の斧を落とすのを最初からすべて見ていたのだ。

金の斧や銀の斧を見せるとどうなるか試してみたのだが、とても正直者だわい。

最近のように乱れた世の中では、正直さは大事でもなかなか守りにくい徳だ。

正直に生きるおぬしに報酬を与えよう。この金の斧と銀の斧を受けるがいい。