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エレスギガル伝説 | |
NPC
レベル: 1 HP: 63 攻撃半径: 0m | |
Dialogs: ―古代の伝説― 第5巻 龍帝エレスギガルの伝説 ―序文― 古代のアトレイアでは、今では想像もつかない神秘的なことがたくさん起きていた。 そのすべての根源はアイオン塔だった。万物を包み込むアイオンの暖かい光は、塔が志すすべてのことを可能にした。 明るく美しい光の中ですべての命は今よりずっと優れた能力を発揮したが、それは龍族も同様だった。ドラカンがドラゴンに覚醒できたのも、すべてアイオンの光によるものだった。 冷酷な律法と懲罰を司る龍帝エレスギガルの驚くべき力もまたアイオンから得たものだった。 エレスギガルの地であるエレシュランタも結局はアイオンの摂理のもとにあったように。 ―エレスギガルの誕生 ある日、ドラカンの群れが暑い砂漠で透明に光る巨大な卵を発見した。 急いで駆けつけたドラカンたちは、卵を手で触ってみてびっくりした。湯気が立つほど熱い砂の上にある卵が氷のように冷たかったのだ。 あまりにも冷たくて手をつけるのもやっとだったが、ドラカンたちは安全なところで孵化させるため丁寧に村まで運んできた。 暖かいところに入ったら、卵の表面が静かに揺れながらウンウンという音を立てはじめた。その音を聞いたドラカンは皆、おかしな感覚にとらわれていった。 理由はわからないが、心の底から尊敬心と恐怖心が一緒にわいてきたのだ。 その日から、その卵はドラカンの生活の中心となった。 1日を始める前に必ず立ち寄って卵の静かなうなりに耳を澄ませ、1日が終わったら氷のように透明な卵の表面に波のように浮かび上がる模様を眺めた。 エレスギガルが生まれてくる日を、誰も告げることはなかったがすべてのドラカンは知っていた。まもなく、英雄が生まれてくると。 朝から皆が静かに英雄の降臨を待っていた。するとウンウンといううなり声が小さくなっていき、卵の表面に亀裂が入った。そして、しばらくすると巨大なドラカンがゆっくりと立ち上がった。 「汝らに秩序をもたらさん」 これがエレスギガルの第一声だった。 ―覚醒の瞬間 エレスギガルは生まれたときから完全だった。 肉体的にも、精神的にも並外れた完璧な能力を持っていた。それだけではなく、自由自在に魔法の力を操ることができた。 エレスギガルの驚くべき能力を目の当たりにしたドラカンは皆ひざまずいた。生まれた直後から村を率い、そう長くかからずに近隣の地域はすべてエレスギガルの手中に落ちた。 自分の初めて口にした言葉どおり、エレスギガルは規則と秩序を整えた。力の論理だけに支配されていた地に理性の影響力を見せつけたのだ。 たくさんのことを成し遂げたが、エレスギガルはずっと何かが足りないという思いに悩まされていた。しかし、それが何かはわからなかった。 ある日、フレギオンの覚醒の知らせが入ってきた。その時、エレスギガルは自分の求めていたものが何かに気づいた。 より強力な力、より偉大な能力。かつて、どのドラカンも到達できなかった境地に達してみたくなったのだ。 エレスギガルは自分の心の内を見極める必要を感じた。自分の中に潜在する未知の力を引き出さなくては、より高い境地に達することができないと気づいたからだ。 彼女に従っていたドラカンたちが引きとめたが、すべてを押し切って修行の旅に出た。そして、深い洞窟の中に閉じこもって、静かに目をつぶって瞑想を始めた。 長い間、寒い洞窟の中で微動だにしなかったため、エレスギガルの体温はだんだんと下がっていった。身が凍てつき心臓が止まりかけたとき、エレスギガルはゆっくりと目を開けた。 目を開いた瞬間、エレスギガルの全身は光に包まれた。しばらくして光が消えたエレスギガルの様子は以前と同じようで、すっかり変わっていた。 ものすごい威力を持つドラカンから偉大なるドラゴンに生まれ変わったのだ。何でもでき、何にでも変身できる驚異の存在となった。 エレスギガルは洞窟の外に出て、大きく息を吸って一気に吹き出した。すると、命あるものからないものまですべてのものが凍ってしまった。太古からそうであったように。 覚醒の境地まで達したドラカンは多くいるが、エレスギガルのように瞑想で覚醒に達した者はほとんどいない。 血管の中に氷が流れているといわれている冷酷な復讐者エレスギガルらしい覚醒だった。 ―力の根源を見つける ドラゴンに覚醒してからのエレスギガルは、自分の能力を思う存分楽しんだ。 数多くのドラカンとドラゴンを屈服させ、亜人種や人間の前では神のように君臨した。 日を重ねていくうちに、より多くの領土と部下を率いることができたが、エレスギガルはますます空虚さを感じていた。 欲しいものはすべて持っていたが、いつも何か物足りない感覚に縛られていた。 心の中の虚しさはますます大きくなり、結局はすべてが何の意味も持たないように感じはじめた。 心が虚しさでいっぱいになると、エレスギガルは自分の内面をもう一度見極めた。 長い間悩んだ末、エレスギガルはひとつの結論に達した。求めていたのは単純に優れた能力を持つことではなかった。 エレスギガルが心より求めていたものは、もっと根源的なものだった。 自分の授かった力の根源的な何かを見つけたいと心の底から求めていた。 そして、長い間自分の心の中で眠っていた熱望にようやく気づいたのだ。 目指すべきところを見つけたエレスギガルは、もう一度すべてを捨てて修行の旅に出た。 力の根源を求めて、エレスギガルがどのような修行をしたかについてはさまざまな説がある。 エレスギガルは果てしない砂漠の真ん中で静かに座って、何も食べず、飲まず、寝ず修行に励んだといわれている。 100日が過ぎ、悟りを得たエレスギガルは静かに砂漠から立ち去ったが、その足跡からは芽が生えてきたといわれている。 痩せた土地で雨も降らないところだが、エレスギガルの足跡から芽生えてきた植物はすくすく育った。 そしてついに荒れた砂漠を肥沃な地に完全に変えたのだ。 別の話では、エレスギガルは自分の覚醒した洞窟に再びやってきたという。 そして小さな石を前にして、それをじっと凝視していたらしい。 最初は何の変化もなかったが、時間が経つにつれその石がゆっくりと空中に浮いた。 空中に浮いた石はウンウンとうなり始めると思いきや、小さな氷の塊に変わった。 しばらくすると、その氷は燃え上がる炎の塊となり、たちまちに羽ばたく小鳥に変わった。そして最後は再び石に戻った。 エレスギガルは笑みをこぼし、この日を境に実力のあるドラゴンから全知全能の龍帝となった。 |