天族のディーヴァよ、これまで私は天族に何も頼みごとをしたことがない。

もちろん、はるか昔には私たちも同じ種族であったが、今の状況はわかっているだろう。

天族は敵でもなく、仲間でもない存在なのだ。

ところで……ところでだ……。
実はディーヴァに1つ頼みたいことがある。

大地の傷痕に行ったのだが、クレストリッチとルサルカのことを甘く見て1人で行ったせいで、ひどい目に遭ってしまった。

どうにか戻ってはきたが、背負っていた荷物がパラパラとこぼれ、大切なものまでクレストリッチとルサルカに奪われてしまったのだ。
中にはゲロンが大切にしている古代の宝物もあった。ゲロンはあれを失くしたことをまだ知らない。

ゲロンが知ったらきっと大騒ぎになるだろう。古代のものなら自分の命のように思う人だからな。

クレストリッチとルサルカに奪われた古代煉族の時計と古代煉族のかんざしを取り戻してくれないか？
ゲロンは古いものを宝物のように大切にする人だというのに、よりによってあれをなくしてしまうなんて。

ゲロンに気づかれぬうちに、なんとか古代煉族の時計と古代煉族のかんざしを取り戻してくれないか。

取り戻してくれたら、その恩は決して忘れない。
大変だ。さっき、ゲロンが貸してやったものを返してほしいと言うので、わかったと返事してしまったのだ。

これ以上時間がかかるようであれば、どういうことだと聞いてくるに違いない。

古代煉族のものを奪っていったストーン ビーク クレストリッチとスマイリング ルサルカは見つかったか？
まだなのか？

これは困った。

ゲロンは世の中が変わっても煉族の心だけは変らないと言って、煉族のものであればそれこそ何でも宝物のように扱うのだ。

それがなくなったと知れば……おそらく私が同じ立場でも平静にはいられないだろう。
確かにこれだ。古代煉族の時計と古代煉族のかんざし！

ただのガラクタに見えるだろうが、煉族にとっては大切なものだ。

取り戻してくれてありがとう。