ちょっと待ってください！それを見せてもらえますか？

指輪です、指輪！

妻の物のような気がするのです。
ああ！これは……これは妻がはめていた指輪に違いありません。

細工師に私が掘りだした宝石を渡し、形も指定して特別に注文した物なのです。

久しく見ていませんでしたが、見間違えるはずはありません。

どうしてプレーヤー様がこれをお持ちなのですか？

どこで手に入れたのか話してください。
(涙を流して)妻は……死んだのですね。

私は妻を捜すために、この砂漠偵察隊に志願しました。

アゲイロン村に住む親に会いに行って行方不明になった彼女を見つけられるかもしれないと思っていたのです。

ああ……かわいそうなウィレーナ……こんな形で消え去ってしまうとは……。
いえ、いいんです。その指輪を持っていたら、見るたびに妻を思い出してつらくなるでしょうから。

もう私の心から彼女を解放してあげるべき時が来たのですね。ウィレーナは人間でしたから、もし生きていたとしてもそう長くはなかったでしょう。

最後に、彼女のために小さな追悼の儀式をしてあげたいんです。彼女が大好きだった場所に指輪を置きたいと思います。

エリュシオンにご用があるのでしたら、お願いしてもいいでしょうか？
空中庭園に行ってクレオン様に追悼の詩を詠んでほしいと頼んでください。妻はクレオン様の詩が大好きだったのです。

それから指輪を噴水に投げ入れてください。

そうすれば彼女の魂が喜ぶと思います。

もう彼女を忘れなければならないということですね。彼女もきっと、それを望んでいるのでしょう。
世の中には感謝し、思い出に残したいことがたくさんあります。

感謝と思い出、愛情を形に残したいが故に、人びとは私に詩を頼むのです。

プレーヤー様も詩を頼みにいらしたのですか？
ああ、本当に痛ましい話ですね。

これほど深い愛が報われないなんて悲しいことはありません。

指輪の主のために、追悼の詩を捧げましょう。

プレーヤー様が噴水に指輪を投げ入れてください。私が詩を詠みましょう。
長い間、妻の痕跡を捜し求め、してあげられなかったことをあれこれ思い出していました。

もっとたくさん、愛していると言ってあげればよかった。彼女に頼まれた些細なことを、どうして断ったりしたのでしょうか。もっと聞いてあげればよかった。

思い出すほど切なく、苦しくなります。

でもこれからは、一緒に過ごした楽しい時間を思い出し、つらいことは忘れなければなりませんね。

ありがとうございます。妻の魂もきっと喜んだことでしょう。

ずっと背負っていた心の荷を下ろしてくださって、本当にありがとうございます。

それから、これは私からの感謝の気持ちです。どうぞ受け取ってください。