(指に包帯を巻きながら)痛っ！痛いな、もう。

ちょっとこれ見てくださいよ。

アウルラウに噛まれてこんな傷ができちゃったんです。

ものすごい力で噛み付くもんだから、頭をぶん殴って引き離したんです。

んもうっ……思いっきりぶん殴ってやったから、やつも平気じゃないはずよ。
目を睨みつけてもビクともしないのよ。その時点で気づくべきだったわ……。

アウルラウのやつら、見た目はおとなしそうでもむちゃくちゃ凶暴なんだから。

あなたも気をつけたほうがいいですよ。

カワイイ～っ！なんて頭でもなでたりした日には、私みたいに噛みつかれるのが関の山ですよ。
でも正直なところ、興味が沸くのは確かです。

あんな生命体、魔界のどこの森でも見たことがないもの。

系統でいうと亜人種に近いような気がするけど、果たして文化と呼べるほどのものを持っているのか分かりません。

じっくりと研究してみたいところだけれど、ティアマトの重力制御能力の調査で忙しくて、時間が足りないんです。

どうですか、ちょっと手を貸してくれませんか？そうしてくれたら、私も2つの調査を並行して進められるから助かるんですけど……。
助かるよ。あなたが手を貸してくれたら、仕事がはかどります。

(じっくり考えて)それじゃあ、どれから手をつけようかなぁ……。

やっぱり、やつらが使ってるもの調査した方がいいんじゃないでしょうか？

それじゃあ、アウルラウの包みから持ってきてくれますか？

それを見たらアウルラウの生活やら、やつらが何を考えているのか、大体はわかるでしょうから。
以前、お話したことがありましたっけ？

私がここに来てるのは、ティアマトの力を研究するためだって。

それは、大地をひび割れさせて隆起させるほど恐ろしい力なんです。

もしかしたらあなたも見たことがあるかもしれませんね。ねじれの空間のようなものです。

あれが出現するのを見るたびに、戦慄を覚えます。

ところで、頼んだことはどうなりましたか？アウルラウの包みのことです。
んもう、それだったらハナからできないって言ってくれたらいいじゃないですか！人をぬか喜びさせて。

ディーヴァのくせして、守ることもできない約束をしてもいいと思ってるんですか！

もう一度チャンスをあげますから、アウルラウの包みを持ってきてください、大急ぎでね。
(包みの中身を見て)何だか木の実でいっぱいですね。ときどき、虫も混じってるわ……。

石や草もやたら混ざってるし。カピカピの肉も入ってるわ。

これを見る限り、アウルラウは雑食性に違いないわね。

それから、持ち物を整理整頓する才能には乏しいみたいね。