モルヘイムの結界守護者、ティール様は格式に縛られない方です。

冗談がお好きで、ディーヴァだけでなく人間たちにまで笑い話をするような気さくな方です。

それでなのか、他の地域のように報告書を決まった日に提出しろなどという面倒な命令をなさることはありません。

ですが、今回は報告しないといけない気がします。

村周辺の生命体たちがおかしいのです。

何と言いますか……前よりずっと凶暴で荒々しくなったのです。個体数も増えましたし。

このままでは、今の兵力で村を守ることが難しくなります。かといって、そのたびに要塞に支援を求めるわけにもいかないので、原因を突き止める必要がありそうです。
ディーヴァ様から切り出してくださって助かります。では、勝手ながら申し上げましょう。

この報告書を、モルヘイム結界塔のティール様に届けてほしいのです。

どうもオードの流れが疑わしい気がするので、問題がないか調査してほしいという要請文書です。
ありがとうございます。久しぶりに書いた報告書なので、ちゃんと書けたか不安ですけど。

ティール様には、前にもお会いしたことはありますか？

会ったらきっと楽しいですよ。面白い方ですから。
あなたは、シューゴ族のしっぽが長い理由をご存知かな？

なんと、そんなことも知らずにディーヴァになったのか！

私が理由を教えてあげよう。シューゴ族のしっぽが長いのは、髪が長いと変だからさ。

あはははは！面白いだろう？

おおっと、私の冗談がつまらなかったのかな。そういえば、私に用事があるって言わなかったかい？
リケッシュからの報告書か。そういえば、最後にリケッシュに会ったのもずいぶん昔だなあ。あの人は私の冗談をちゃんと聞いてくれる人だった……。

(素早く報告書を読み終えると折りたたむ)

最近、オードの流れが不安定であることは、私も気づいていた。

しかし、リケッシュが心配しているほどじゃあなかった。すなわち、生命体に悪影響を与えるほどではないと思っていたのさ。

リケッシュは、しいて言うなら心配性なところが短所だな。彼女には私が直接返事を書くから、もう帰ってくれて結構だよ。

ここまで報告書を持ってきてくれてありがとう。