ほしいものは何でも買えるほど豊かだけど、寄る年波にだけはどうしても勝てないものだねぇ。

ディーヴァに覚醒したら永遠の若さを保てただろうけど、不幸なことに覚醒はお金で買えるものじゃないからねぇ。

もちろん、あたしが今も変わらず美しいっていう事実はよ～くわかっているよ。でもね、若いときは本当に、まぶしいほど美しかったのさ。

少しでもあの時の美しさに戻れればいいと思う気持ちから、今でも身だしなみはおろそかにしていないんだよ。
あたしから頼みたいことがいくつかあるんだけど、聞いてくれるかい？

まずはパンデモニウムに行き、絶え間なく賛美の歌を捧げてくるアライソンに断わりの手紙を渡しておくれよ。

新しく発表する歌の大半が、このエリーに捧げるものなんだそうだよ。

ハンサムで歌もうまいらしいけど、富裕で美しい未亡人であるこのあたしが、たかだか吟遊詩人の求愛を受け入れるわけにはいかないからね。

だから、もう諦めてもらったほうがアライソンのためにもいいだろう？
それから、そのついでに市場の道にいるアクセサリー商人のマレケのところに寄り、真珠のネックレスを受けとってきておくれ。

いつもは繁栄の道にある商店とだけ取引しているんだけど、今回はいいものが入ってきたというから買ったんだよ。

その帰り道、モルヘイムに寄ってパラリンリンのところですべすべの軟膏も受け取ってきておくれ。

バナハルの女たちも探し求めて使うほどお肌にいいっていうから、あたしも一度つけてみようと思ってねぇ。

マレケとパラリンリンにはもうお金を払ってあるから、品物さえ受け取ってきてくればいいんだよ。

手間賃はたっぷりあげるから、あたしの頼みを聞いておくれよ。
それじゃ、この手紙を持っていっておくれ。

いいかい、アライソンにはキッパリと言うんだよ。エリーは賛美の歌なんかでなびくような女じゃないから、もう諦めなさいって。

マレケとパラリンリンから真珠のネックレスとすべすべの軟膏を受け取ってくることも忘れないようにね。

さあ、早く出発するんだ。
やあ、プレーヤー殿。

その表情、恋に落ちたに違いないね。

恋人にあげる恋の歌を依頼しに来たのなら、すまないと答えなければならないよ。

最近は、自分の恋人に捧げる歌を作っていて忙しいんだ。
(手紙を読みながら)むむっ、これは何だい？エリーが断わりの手紙を送ってくるなんて！

いや、ちょっと待てよ……ベルスランのエリーだって？それなら、私の恋人が送った手紙ではないな。

ところで、ベルスランにいるエリーとは一体誰で、なぜ私に断わりの手紙を送ってきたんだ？私はこの人に恋を告白したことなどないぞ。

誰だかわからないが、私がエリーという名前を呼びながら歌うから、自分に捧げる歌だと勘違いしたようだ。

プレーヤー殿、帰ったらその方が傷つかないように気をつけつつ、あなたに向けた歌ではないとちゃんと伝えてくれ。
私が売っているものにはあまり関心がないようですね。

特別にお探しのアクセサリーでもあるのですか？

注文製作はほとんどしておりませんが、特別な場合には注文を受けたりもしますよ。
ああ、ベルスランのエリー様が送られた方ですね。

ちょうど準備しておりました。シューゴ特急便で送ると言ったら真珠に傷がつくといけないとおっしゃり、人を送ると言付かっています。

ブラック クラウド貿易団のコネをつかって取り寄せたものなので、エリー様ほどの財力がある方でなければ購入できないと思い、連絡を差し上げたんです。

シンプルですが非常に品のあるデザインです。幼い少女から中年のご婦人まで、どなた様にも似合うと思います。もちろん、少々お年を召した方にもね。

それでは、このネックレスをエリー様にしっかりとお届けください。
パラリンリンにこっそり頼みたいものがあるのかニャン、ニャルルン。

何を探しているのか、耳元でそっと言ってみてニャ。

何でも探してあげるからニャ、ニャルン。
ちょうど、エリーばあさんに送るすべすべの軟膏を包んでいたところニャン。

これを1日3回ずつつけると、お肌が白くなってシワもぱっと伸びるんだニャン。

エリーばあさんのようなナルシストのおばあさんにちょうどいい品だニャン。

ニャッ、パラリンリンがナルシストのおばあさんって言ったことは秘密なのニャ。そんな話が耳に入ったら、二度とパラリンリンとは取引しようとしないはずだからニャン、ニャルルン。

じゃ、これを早く届けてニャン。遅いとエリーばあさんが怒るからニャ、ニャル～ン。
思ったよりずいふん時間がかかったねぇ。

まあ、個人的な用事があったのなら、しょうがないけどね。

それで、手紙はちゃんと届けてくれたのかい？それに、頼んでいた品も受け取ってきたかい？
断わりの手紙を受け取ってプライドがずいぶん傷ついたようだね。賛美の歌を捧げた相手はあたしじゃなくて他のエリーだなんて言いつくろっちゃって。

それでも、あたしを諦めてくれるんならひと安心だよ。

ふむ、ネックレスは思ったよりあまりよくないねぇ。真珠の質はいいけど、デザインがいまいちだ……やっぱり繁栄の道に注文するか、もしくは細工名人に頼んだ方がいいねぇ。

それから、早速すべすべの軟膏をつけてみようかね。どれくらい効果があるかはわからないけど。

さあて！手間賃をあげようじゃないか。

さあ、受け取っておくれ。これぐらい渡せば、お使いの手間賃にしてはいいほうだよ。