(これまでの話によく耳を傾けている)

それじゃあ、トーキング ミラーが魔力を吹き込んだという鏡は絶対見せてもらえないということね、う～ん。

約束を破ったら魔力が消えるというのなら、仕方ないわ。

ところで、トーキング ミラーが心を読み取るって本当？

つまり、ただそんな気がしたんじゃないの？
とにかく、話は全部聞いたからアールキナ宮殿に行く方法を教えてあげる。

ずいぶんと遠回りしてきたみたいだけど、運よくアールキナ宮殿に一番近い時空の亀裂はすぐこの近くに開くわ。

この下にある道から左へ少し行くの。

ニュータンの泥地へと続く橋を渡る前の左にくぼんだ所。
そこから時空の亀裂を使えば、ベルスランの北東、そのどこかに落ちるはずよ。

時空の亀裂の安定度によって到着する場所が少し違うけど、どこに落ちてもそこから東へ進んで。アールキナ宮殿は最北東にあるから。

ユプロシュネ村にいるメテリアのお母さまのためにセイレンのヒレを探しているって言ったわよね？

それなら、早く行かなくっちゃ。ベルスランで迷子にさえならなければ、すぐに到着できるわ。
セイレンたちは極めて敵対的で、群れで攻撃する場合もあると聞いたから気をつけてね。

できることなら信頼できる仲間と一緒に行ったほうがいいわ。

では、幸運を祈っているわね。
母はもうお粥も食べられなくなってしまった、ううう……。

アビスで積んだ大きな功績も、エリュシオンに認められた名誉も、こんなときには何の役にも立ちはしない。

あなたにも人間の家族がいるなら、大切にしておくんだ。

時間は短すぎる。手元に置いておくことなんかできないんだからな……。
セイレンのヒレを煎じた薬がどれほど効くのか、よくわからない。

でも、医学のディーヴァにも匙を投げられてしまった今、最後の希望はそれだけだ……。

難しい頼みだってことはわかる。だが少し急いでくれ。頼む。
本当にセイレンのヒレが手に入ったのか？

本当にありがとう。この恩は一生忘れない。

こんなものではあたしの気持ちは表せない。でも、受け取ってくれ。精一杯の気持ちを用意したんだ。

それじゃあ、私は早速ヒレを煎じに行かなくては。ああ、どうか効き目があらんことを！