ID: 730119
エルテネンの伝説3
icon NPC
レベル: 1
HP: 63
攻撃半径: 0m

Dialogs:



エルテネンの伝説3



[カルンの遊び場]

これは、古い昔から伝説として伝えられている物語です。

アイオンは、世界を建て直すために塔の守護者と光と影、生命と死、正義と知恵、運命、幻、破壊の守護者を送り込みました。

彼らは十二柱神と呼ばれ、アイオンの意志を世界に伝えようとしました。

十二柱神は人間の姿をしていましたが、人間とはどこかが少し異なり、むやみに近づくことのできない顔つきをしていました。

表情は笑っているようにも悲しんでいるようにも見え、その迷いのない態度や深い意志は、他にたとえる対象がありませんでした。

世界のあらゆる美辞麗句を駆使する詩人ですら表現が難しく、彼らをただ清閑な海、そびえ立つ山とのみ言い表しました。

十二柱神はそれぞれ自分が代表する真理の属性に従い、お互いの距離を保っていました。

光が影を追い払うように、影が幻を生むように、幻が運命をあざ笑うように、運命が自由を妨げないように、自由が知恵を渇望するように、知恵が光に従うように。

遠くて近い真理の関係は、神の関係にもそのまま反映されていました。

この伝説は、その中でもとりわけ親密であった2人の神にまつわる話です。

ただし、いったいどの柱神なのかはお教えすることができません。世界に知られてはいけない秘密ですから。

彼らがどういった経緯で掟を破ったのか。それは誰にもわかりません。

しかし、二柱神は他の柱神や人びとの目を盗んでアトレイアのどこかでこっそり密会していました。

ハンターの目すら届かない深い森だという説、ディーヴァでも届かない高い空だという説、セイレンすら知らない遠い海だという説まであります。

とにかく場所はどこでも構いません。すでに掟は破られてしまったのですから。

とにかく、二柱神は一時期、激しく愛し合っていました。

そして、その愛の証として子どもが生まれた時、二柱神は喜びと恐怖に見舞われました。

神という身分でありながらアイオンの意志に逆らったという事実から目をそらすことはできません。

しかし、子どもは二柱神にこれまで味わったことのない幸せをもたらしました。同時に子どもは心配と混乱の根源でもありました。

息子のカルンのそばで面倒を見ることができなくとも、二柱神は親としての役目を果たしたいと思いました。

そこで、カルンのために揺りかごのような遊び場を作りました。世界一大きくて立派な遊び場を。

彼らの居場所からそれほど遠くない適当な場所を見つけて魔法をかけ、誰も入れないようにしました。

入れないだけではありません!

人びとは、近くにそんな遊び場があることすら知りませんでした。何も見えなかったからです。

二柱神、つまりその子の両親は、その遊び場に世界のあらゆる生命を入れてやりました。小さな草から巨大なモンスターまで。

子どもが世の中に出なくても、あらゆる経験ができるようにするためです。

掟を破って産んだ子どもですから、しっかり隠しておく必要がありました。

カルンは巨大な遊び場の中で、すくすく育ちました。

そこが世界そのものだと思ったまま。

アトレイアの面倒を見ることで忙しかった二柱神は、堂々と子どもに会うことができませんでした。

時が経つにつれ、二柱神は気が重くなっていきました。重荷になればなるほど、子どもにより多くの物を与えて罪悪感から逃れようとしました。

しかし、そんな状況が子どもにとっても二柱神にとっても良いはずがありません。

そうです。もしかすると、柱神が子どもの両親としての役割を担うこと自体が初めから不可能だったのかもしれません。

最も不幸だったのは、巨大な遊び場に残された子どもでした。

誰にも面倒を見てもらえずに1人で育った子どもは、徐々に乱暴になっていきました。

自分の持つ力に気づき、父と母が丹精に作ってくれた遊び場を壊しはじめたのです。

それだけではありません。遊び場に入れた生命を破壊することに楽しみを見い出したのです。

おもちゃを手に取って楽しく遊んだ後、突然壊してしまう子どものように。

二柱神はその事実を知り、深い後悔と苦しみを感じました。

しかし、状況を取り戻すには遅すぎることにも気づきました。

結局、母親である神がアイオンに許しを請い、子どもの存在を認めてもらえるよう頼むことにしました。

ところが、この決心が遅すぎたのでしょうか。それとも、アイオンの怒りが大きすぎたのでしょうか。

アトレイアに大きな災いが訪れ、遊び場はその最初の犠牲となりました。

大きな稲妻が遊び場に放たれる様子に驚いて駆けつけた二柱神は、凄まじい光景を目にしました。

遊び場は粉々に破壊され、遊び場にいるべき生命体は辛うじてその痕跡のみが残っていました。

そして……カルンはどこにもいませんでした。

母親である神は悲しみが大きすぎたためか苦痛の悲鳴をあげました。吐き出される悲鳴とともに黒い雨が降り注ぎました。

その間、二柱神は一言も言葉を交わしませんでした。そして破壊された遊び場を後に、どこかへと立ち去りました。

子どもを失った悲しみと苦しみが、二柱神の心を完全に引き裂いたようでした。

これが、かつて愛し合って子どもを産んだと伝えられる二柱神にまつわる物語の全容です。

悲しく恐ろしい物語です。

その後、何が起きたのかは誰も知りません。

ただ今もなお、アトレイアのどこかに子どもが遊んでいた巨大な遊び場が残っているという噂は伝えられています。

大災害の衝撃で見るも無残に変わってしまった遊び場が。



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