ID: 730123
魔族のための献身
icon NPC
レベル: 1
HP: 63
攻撃半径: 0m

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この本を栄誉ある家門の先祖、ケイデリアン様に捧げる。


遠い昔、人間は先祖の名前や故郷の名前から取って家門の名前にし、血縁関係にあることを表した。

時間が経ってアトレイアに危機が訪れたとき、光とともに降臨なさった十二柱神は名字を使わなかったため、人間も次第にこれに倣うようになった。

そして万人は平等だという魔界の思想が確立した後、家門を表すのは派閥や階級を助長する恐れがあり、望ましくないことと見なされた。

有限な時間を持つ家族をオードの流れに帰し、1人で永遠に生きなければならないディーヴァに、血縁は束の間の縁であるだけだ。

長い時間に1人残されたディーヴァは家族という単位を重要に思わなくなり、家門と名字を重視する慣習は次第に消えていった。

しかし、バナハル地区の古い家門はそのような動きからは例外的な立場をとった。

血筋と覚醒は何の関係もないというのが定説だ。親がディーヴァだからといってその子がディーヴァとして覚醒する確率が高いわけではない。

しかし、バナハル地区の家門は長い年月、代々に覚醒して家門を維持してきた。

ディーヴァとして家門を押し立てられるのはバナハルの人だけが享受する特権だ。彼らを除いては一族を形成するディーヴァがほとんどいないためだ。

彼らは象徴的な紋章や外見的な特徴、家門で最も地位が高かった者の名前、始祖になるディーヴァの名前から取って家門の名前を決める。これは彼らの誇りであり、アイデンティティとなった。

バナハル地区は元々ディーヴァのための居住地だった。建築のディーヴァであるメシラデタがディーヴァのための美しい邸宅を建ててバナハル地区と名づけた。

ディーヴァの数に比べてバナハル地区が狭かったため、大きな手柄を上げたディーヴァだけにバナハル地区の住宅が下賜された。

そのため、現在バナハルに住んでいるディーヴァはすべて遠い昔から神を仰いだパンデモニウムの功臣やその功臣の子孫である。

バナハル地区の住宅を下賜されたディーヴァはそこに定着し、その子孫は大崩壊以来、代々魔族のために献身している。

バナハルにあるたくさんの名誉ある家門のうち、我がケイデリアン家門は大崩壊のときから神とともに戦った由緒ある家門である。

家門の始祖であるケイデリアン様は永遠の塔の意思で神が生まれた日に覚醒の恩寵を受けてディーヴァになった。

足が速く、弓術に優れたケイデリアン様は冷酷で美しいトリニエル神に従った。いくばくもなくトリニエル神の寵愛を受けていつも神のそばで補佐する光栄を受けた。

誇らしきケイデリアン様はトリニエル神と一緒に結界の上を飛び回りながら数多い龍族を倒した。ケイデリアン様の鋭い矢は敵を逃したことがなかった。

当時を描写した絵を見ると、トリニエル神の左に弓を持っているケイデリアン様がいつも描かれている。

大崩壊以後、ケイデリアン様はトリニエル神に従い、パンデモニウムの建設にも大きく貢献した。

パンデモニウムが完成すると、ケイデリアン様と家族は手柄を認められてバナハル地区の邸宅を下賜された。

しかし、ケイデリアン様は少しの平和も享受できず、最初のアビスの探査団に自ら願い出、軍団を率いてアビスへ向かった。

当時のアビスはいつ閉ざされるかも分からず、キベリスクもない危険な場所だった。結局ケイデリアン様がアビスの暗黒の中から戻られることはなかった。

しかし、ケイデリアン様消滅の知らせを聞いた家族には誰ひとり、涙を流す者はいなかった。むしろパンデモニウムのために消滅できたことを栄誉と思ったのだ。

以後、栄誉ある消滅を前に涙を流すのを恥に思うのはケイデリアン家門の伝統となった。

ケイデリアン様が消滅した後も子孫は自らをケイデリアンの子孫と称し、その意を受け継いだ。代々トリニエル神に献身し、死のテムペルの形成にも大きな役割を果たした。

ケイデリアン様の孫娘であり、私の祖母であるティエンシュエ様は時空の亀裂を数えられないほど往来し、天界で重要な任務を遂行なさった。

彼女の剣によって数多くのガーディアンがオードの流れに還った。ティエンシュエ様が従えてきた軍団兵たちは彼女の情熱に感化され、誰ひとり消滅を恐れることはなかった。

ティエンシュエ様は天界へ渡って大きく活躍しただけではなく、魔界に入り込んだ天族の討伐にも大きな手柄を立てた。

トリニエル神はその手柄をねぎらって記章を下賜し、その記章は家の宝として貴重に保管されている。

その後も我がケイデリアン家門を輝かせたディーヴァは1人2人だけではない。彼らを1人ひとり列挙すれば、本を何冊書いても足りないはずだ。

このように長い間、代々ディーヴァとなって魔界のために献身し、先祖の意を受け継いだのは厳しい教育のおかげであろう。

ケイデリアン家門に生まれた者は2本の足で歩き始めたときから神とパンデモニウムに献身しようという話を聞き、立派なディーヴァになるための訓練を受ける。

子どもたちは覚醒するとすぐに戦闘に投入できるよう体系的な訓練を受け、覚醒しない者も魔族のために献身しながら一生を送る。

ケイデリアン家門に生まれた者の願いは始祖であるケイデリアン様のようにディーヴァとなってトリニエル神に従い、魔族のために名誉ある献身をすることである。

バナハルで生まれた子を温室育ちだと非難する人びとの認識は大きく間違っている。

中にはそうでない場合もあるだろうが、バナハルで生まれた人びとは幼い頃から厳しい教育を受け、戦場では先頭に立って模範的な戦闘をする義務が押し付けられる。

彼らは生まれながらにして役割と地位の束縛に縛られている。家門の栄誉を維持するためにこのような宿命を甘受しなくてはならない苦労は、自由な人生を営む者には決して分からないことである。

多くの人びとはバナハル出身者が享受する華麗な服や美しい邸宅だけを見て非難する。しかし、われわれが流す血に比べると、そんな贅沢は本当に小さく些細なものだ。

バナハル地区に住む人びとは決して何の対価もなくそこに住んでいるわけではない。

私もやはりケイデリアン様の子孫として幼い頃から厳しい教育を受け、パンデモニウムとトリニエル神に仕えることを人生の目標と思ってきた。

もちろん多くの人間とディーヴァが安全ではないところで寒さや飢え、亜人種の脅威に苦しんでいることはよく分かっている。

しかし、だからこそわれわれは一層大きな使命感を持って魔族とパンデモニウムのために血を流す。

これから生まれる子孫も覚醒して魔族のために役に立とうという教育を受け、家門の誰かが消滅しても悲しまず光栄と思うのであろう。

ケイデリアン様が生きておられた時代からそうであったように!



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