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サバットの黄昏 | |
NPC
レベル: 1 HP: 63 攻撃半径: 0m | |
Dialogs: サバットの黄昏 偉大な大魔法士 マシオスの真髄を引き継ぎ 煉族の天才的大魔法士 ペイティオスが記録する。 はじめに 本著書は、煉族 魔法士協会の要請により私、大魔法士 ペイティオスによって書かれたものである。 私はカマル建立以来、サルファン全域に到来した最大の危機的状況の中心に立っていた魔法士として、また煉族を救援した張本人として、当時の緊迫した状況を生々しく記録しようと思う。 ペイティオス 本文 その日はとりわけ静かで平和な日だった。当時、私はカマルの研究室にこもり、龍帝を一撃で滅ぼすための呪文を研究していた。 長引いていた研究はやっと完成直前の段階に入り、頭の中を駆け巡る最後の鍵だけを残した状態に到達していた。 しかし、突然入ってきた招かれざる客が、すべてを台無しにしてしまった。 広報官が駆け込んできたのだ。 彼はしどろもどろに大魔法士である私の助けが必要だという言葉ばかりを繰り返すため、私は彼を落ち着かせて状況を聞いた。 ティアマランタ関門を通ってティアマト軍が攻め入り、激戦が起こったと話すその内容は、防衛線が崩れる直前の切迫した状況だった。 私は冷静に叱りながら尋ねた。 「カルン守護隊員たちは一体何をやっているんだ!」 広報官は頭を深く下げ、カルンと大部分の兵力は今、新しい龍界の開拓地を探査しに遠征に出ている状態だと答えた。 当時はカマルが再建されて間もなかったため、龍族との大規模戦闘が一時小康状態に入っていた時期だった。 まさか遠征に出ている間に龍族が攻めてくるはずはないという安易な考えが災いを招いたのだ。 私は完成直前の段階で留まっていた呪文を仕方なく諦め、戦闘のための物品を準備した。 いくら急に襲われたからとはいえ、基本的な防御兵力は常に駐屯しているというのに、どうすればこんな短時間に防衛線が崩れるような危機に瀕したのか、私には理解ができなかった。 われわれ煉族の兵士がそれだけ虚弱だということなのか? だが、飛行移動士の力を借りて到着したティアマランタ関門北部の状況を見て、やっと理解ができた。 攻め入ってきた龍族の部隊は、一般的なドラカン部隊ではなかったのだ。巨大なドラゴンのサバットが彼らを直接、陣頭で指揮していたのだ。 ティアマトの腹心として知られる彼は世に姿を現さず、未知のドラゴンと呼ばれるほどだった。どうして突然、姿を現したのかは不明だが、そんなことを悠長に考えられるような状況ではなかった。 彼は黄褐色のブレスを勢いよく吹きだし、わずかに残る守護隊員や魔法士たちを殺りくしていた。 彼らの悲惨な姿を見て涙が込みあげてくるのを止めることができなかった。 一体なぜアイオンは、私のような優れた能力を他の者にお許しにならなかったのだろう……。 私はこれ以上遅くなってはならないと思い、ローブの袖をまくって戦場へと向かった。 厳しい争いを繰り広げていた兵士たちは、大魔法士である私、ペイティオスがここに来たという事実に喜びの涙を流し始め、私はドラカンと兵士たちが乱戦を繰り広げている場所に向かって魔力を込めて叫んだ。 「みんな、下がりなさい!」 兵士たちが本能的に後方に向かって駆け出すのを確認した私は、呪文を唱えた。 「スリープ ストーム!」 100人余りのドラカン兵士たちはその場で倒れ、眠りについた。 何人かの兵士たちまでもがあまりに強い私の魔力に耐えられず一緒に眠ってしまったが、彼らを責めてはいけない。普通のディーヴァたちが耐えられるような水準のものではなかったからだ。 サバットは突然変化した戦場の状況に慌てていた。スリープ ストームの範囲外にいた何人かのドラカンも、何かの異変を感じてそろそろと後退していた。 私はやるべき任務の仕上げのため、もう一度呪文を唱えた。 サバットはそのとき初めてとんでもない大魔法士が加わったという事実に気づき、私に向かってブレスを浴びせる準備を始めた。 彼の巨大な柱のような喉が大きく膨れ上がるところが目に入ったが、彼にはすでに状況を挽回するチャンスはなかった。 私の両肩では峡谷の風が猛烈に回転し、暴風に変わっていたのだから。 暴風はすぐに音速を超える速度で飛んでいき、彼の頭めがけて正確に刺さってしまった。 暴風に真正面から強打された彼は、奇怪な悲鳴を上げながら峡谷を転がり始めた。その暴れ回る姿だけを見ていると、まったく勢いが削がれたようには見えなかったが、私にはわかっていた。 どんなに強力なドラゴンでも、この体の魔法には耐えられないということを。 彼の身もだえは徐々に激しくなり、やがて微動すらしない状態になるのだった。 その時、後ろから騒がしい声が聞こえてきた。 遅れてきた支援兵力が到着したのだった。 巨大な次元の扉から出たオード攻城兵器と煉族 魔法士協会員たちが戦場に向かって砲撃を浴びせ始めた。 支援兵力にはエキオスと、私の師匠であるマシオス様もいた。 エキオスは、私がいなければサルファンは再び龍族の手に渡るところだったと安堵のため息をつき、マシオス様は私がいつのまにか師匠を超える魔法士になったと涙を浮かべられた。 師匠を超えるとは……それは確かに事実だったが、私は師匠のお気持ちを考え、それは違うと否定して研究室に戻ってきた。 サバットが倒れた以上、別に私がいなくても状況は整理できると思ったからだ。 ところが、後から戻ってきた兵士たちが伝えた話によると、サバットは最期の瞬間に全力を尽くして邪悪なブレスを吹きだし、峡谷全体を死の地にしてしまったというのだ。 私は一般人たちの能力を過大評価しすぎていたと嘆くことしかできなかった。 今もその巨大なドラゴンの死体はサバットの黄昏と名付けられた峡谷地帯に置かれている。 先日、私は峡谷に行き、白骨化した彼の死体を調べてみた。 じっと彼を見つめていると、土地を荒廃化させたことに対する憎悪より、哀れみの気持ちが湧き起こった。 これだけ強大なドラゴンにも越えられない存在がいたとは……。 サバットの侵攻は、ある人にとっては単純な侵攻だったかもしれないが、私にとっては多くのことに気づかされた貴重な時間だった。 あとがき どうかこの著書を読んだ方々は、油断がどれだけ危険な事態を招くことになるのかということに気づいてほしい。 私のような大魔法士の助けを待つようなことが二度とあってはならない。 幸運は必要なとき、必ず隣にいるわけではないからだ。 また、傲慢さと無駄な自信は捨てるべきだ。この世界には越えられないほど強い誰かがいるのだから。 (一番最後のページに紫色の印章が押されている) (「この冊子は、煉族 大魔法士協会の認証を受けていない刊行物です。」) (「著者の意見は、協会の意見や事実とは異なることがあります。」) |