距離が離れれば心も離れるという言葉がありますよね。

私はそういうタイプではありませんが、夫がそうなるんじゃないかと心配です。

夫はエリュシオンで勤務しているため、こうして別れて暮らすようになってずいぶん経ちます。

エリュシオンにはオシャレでキレイな人が多そうで、浮気をするのではないかと心配です。
互いに手紙のやり取りはしていますが、手紙だけじゃわからないのが人の心ですよね。

1日も早くエリュシオンに行ければいいんですが、やっと出た発令も龍族のせいで取り消しになってしまいましたし。

それで周囲の人に相談したら、私の真心が感じられるものをプレゼントしたらいいと言われました。

いろいろと考えた結果、レミの綿で作った下着を送ることにしました。

一番下に着るものですから、きっと近くにいる気もするでしょうし。
まさか、妻の手作り下着を着て浮気をしようとする夫なんていないでしょう？

もし夫がそんなことをするような人であれば、未練なく別れるつもりです。

それでなんですが、私の代わりにレミの綿を集めてくださいませんか？

どうせなら綿も自分で摘んだほうが真心のこもったものになりますが、結界塔を守っていますから、どうしても取りにいく時間がありません。

お願いですからレミの綿を集めてください。縫うのは私が夜通しやればできますから。
ありがとうございます、私の気持ちを汲んでくださって。

レミはインタルディカのあちこちに咲いていますから、見つけるのは簡単です。

この近くの暗闇の湿地や黒涙の沼地に行けば、簡単に見つかります。ポイエの密林とニュータンの泥地にもあります。

マテリアル抽出の技術が低すぎるとレミの綿をちゃんと摘むことができません。

でも、頼みを聞いてくださるとおっしゃったのですから、必ずレミの綿を持ってきてくださると信じています。
(書いていた手紙を急いで隠した)

(ちらっと目をやると「仕事が終わったら早く家に帰れ」という文字が見えた)

今、夫に返事を書いてたところでした。

ところで、お願いしたレミの綿は持ってきてくれましたか？
これは何ですか？

私がお願いしたのはレミの綿です。

真心をこめた下着を作る材料のレミの綿です。

約束したのですから、ちゃんと持ってきてください。
(綿を触りながら)あら、本当に柔らかいわ。

質のよいレミの綿を集めてきてくれたんですね。

ありがとうございます。これで糸を紡いで布を織り、それで下着を作れば、夫も私の真心と気持ちを感じて寂しさなど忘れるでしょう。

たくさんあるので2着は作れます。着替え用も必要ですしね。