たくさんのディーヴァが、タレリンに売りたい物を預けているニャ、ギャルン。

とても貴重な品物もあれば、盗難品だとひと目でわかるような物もあったニャ。

でも、なんだかんだ言っても一番記憶に残ったのは、ものすごい値段が付いた服だったニャ。

値段を知ったら、ディーヴァはたぶんショックを受けるから言えないニャ、ギャルン。
神聖衣服のディーヴァのベネス様は、裁縫術を使わずに手作りでその服を作り上げたのニャ、ギャルル～ン。

何でそんなに非効率的なことをやっているかと聞いたら、丹精込めるためだとか言っていたニャン。

そうやって作った、すごく華麗な服を恋人にプレゼントするんだと言っていたけど……ギャル～ン。

その恋人は、服が完成する前に大きな戦闘で消滅してしまったニャン。
ある日、ベネス様が手元にあると心を痛める品があるから、販売物品として登録してくれと言ってきたニャ。

それで、その服が専門の販売商人のところに行かず、タレリンのところに来たわけなのニャ、ギャルン。

とりあえず預かりはしたけど、あまりにも高くて戦闘のときに着られるわけでもなかったから、すぐには売れなかったニャ。

タレリンも忘れていたけど、それが昨日売れたんだニャ。ディーヴァがその品物が売れたことを伝えてあげてくれないかニャ～ン、ギャル～ン。
いくら時間が経ったとはいえ、ベネス様にとっては心の痛む記憶だろうニャ、ギャルン。

美しいベネス様に、何でそんなことが起きたのかニャン？

とにかく、大金を預かっているから受け取りに来てニャって伝えてニャ、ギャルルン。
最近、私のところに来るお客さまより、ユネスのお客さまのほうが多いようですわ。

戦闘用の衣装にはない粋を楽しもうとするディーヴァの数が、だんだんと少なくなっていますのね。

あなたが着ていらっしゃる服を見たところ、それほど美的感覚のある方ではないようですわね。
ああ、あの服がやっと売れたのですね。

タレリンにあの服を預けてから、いつも気になっていましたの。

また取りに行こうかと思ったりもしましたが、売れたと言われてかえってスッキリしましたわ。

消滅したディーヴァのことなんて、忘れなくちゃなりませんわね。いつまでも涙に溺れていては、生きていけませんもの。