そなたも、暗黒のポエタで起きたことは聞いたでしょう？

あそこの存在が明るみに出たことによって、パンデモニウムは混乱に陥ったのです。天界での出来事ではあるけれど、それが魔界にどんな影響を与えるか予測できないからでしょう。

その混乱を静めたのがマルクタン神でした。神は、これは龍帝ティアマトの仕業だけれど、暗黒のポエタはティアマトがシエルの遺物を手にしてから引き起こしたことだから、十分に防ぐことができるとおっしゃっていたわ。
シエルの遺物はアイオン塔の守護者でありながら時間の主管者であるシエル神の能力が宿ったものなの。そんな遺物を手に入れたから、ティアマトは暗黒のポエタを作ることができたのでしょうね。

その遺物がゲルクマルスに現れるというマルクタン神の言葉に従い、マルクタンの代行は軍隊を率いて向かいました。しかし、まだシエルの遺物の行方はつかめていないようです。

そのせいかはわかりませんが、マルクタン神から、別のお言葉も賜りました。ヴィーダル総司令官に指示して、今回のことを手伝ってくれる選りすぐりのディーヴァをゲルクマルスに向かわせよ、と。

その人がプレーヤー、そなただとういうことを、神はそなたが訪れる前から知っておられたのですね。

話が長くなってしまいました。ティグリナが待っています。飛行船の乗船場に行き、ゲルクマルス行きの戦艦に乗りなさい。

どうか、運命が微笑んでくれますように。
あんたが、ゲルクマルスに行く人？

(上下にじろじろ見ながら)ふーん、ゲルクマルスがどんなところか、聞いてるよね？

魔界とはまったく違うところだよ。もちろん、エレシュランタとも違う。

あそこに行くなら先に教えてあげるけど、体には気をつけたほうがいいよ。

龍族に捕まったら頭がおかしくなる、って噂まであるぐらいだから。
まだ出航の支度が整ってないから、その間によく考えてみることね。考えなおす時間は十分あるから。

それにしたって、あたしだって戦艦の修理に駆り出されてほんとタイヘンなのよ。どうしたもんかしらね……。

(チラッと見て)あのさ、プレーヤー。突っ立ってるぐらいなら、あたしの頼みを聞いてくれない？

ネカイとグレル、ムウリンにあたしの言うことを伝えてくれればいいだけだからさ。

連中に、「ブツは次の出航までには持っていく」と伝えといて。
何をお探しですか？

魔界の各地から送られてくる高級品がたくさんありますよぉ。

ごゆっくりご覧くださいね。お値段も、お手ごろでしょう。

でも、絶対にツケはできませんからね。これはわが家の家訓ですからぁ。
そうでしたか。仕入れ物資の準備なら、着実に進んでいます。

聞くところによると、ゲルクマルスは魔界とは環境がずいぶん違って、口に合う食べ物がなかなか手に入らないそうです。

それで、アルコンたちは特別な食べ物を注文して持っていくんです。

商売も商売ですけど、龍族と戦うアルコンが食べるものですから、格別に気を配ってるんです。

新鮮度も入念にチェックしていますし。
ティグリナがそう言ったんですか？

それなら、例のブツは私がもうちょっと預かっておくしかないですね。

倉庫がいっぱいだから、早く引き取りに来てほしいんですけどね。
ああ、ゲルクマルスに派遣されたあるアルコンの生活道具ですよ。

急いでたので、倉庫に全部預けて行ったんです。

生活道具を丸ごと引き受けたのは初めてですが、倉庫管理人は預かるモノを選べませんからね。

落ち着いたら取りにくると言っていましたけど、かなり忙しいみたいですね。

代わりにティグリナに荷物を預けてほしいと言われたんですけど、ティグリナが言うには戦艦に空きスペースがあるとき載せてくれるそうです。
じゃ、次の船で運んでいくのかニャ？

よかったニャ～。準備ができてなくて心配してたニャン。

実はこの注文、かなりややこしいんだニャ。

貿易団でも手に入れるのに苦労するようなものばかり要求するんだもんニャ。
もしかして、瞬間衝撃吸収装置って聞いたことあるかニャ？

貿易団の船で使う特殊な装置なんだけど、それと万能乗り物酔い治療剤も送らなければならないニャ。

実は、それは作るのも難しいし、貿易団の内部でもむやみに取引きしてはならない代物なんだニャ、ギャルン。

でもニャ、結界の外に行くんだし仕方ないよニャ……。

戦艦が壊れるのを見ていられないし、しかもお願いに来てるんだからこっちも精一杯協力するしかないニャン。

早く勢力を大きくしなくちゃ。はーきついきつい。ギャルンギャルン。
お帰り。

あたしの言ったことを確実に伝えてきてくれただろうね？

後で確認してみりゃわかることだろうけどさ、よそ見してサボってたんだったタダじゃすまないよ。

もうすぐ戦艦が出発するよ。

ときにプレーヤー、ゲルクマルスに行くという決心は変わらないんだね？
あっそう？

じゃ、あんたがあっちでどれぐらいもつか、とくと見守らせてもらうよ。

どうせ、ゲルクマルスに戻るためにはこの戦艦に乗るしかないんだから。

さ、出発するよ。ビシッとしな！
どこへ行っていた！ゲルクマルスからそなたが来なかったという連絡が来て、驚いたよ。

ああ、わかった！いざゲルクマルスに行こうとしたら、急に怖くなったんでしょう。

そんなに心配することないよ。すでにたくさんの魔族がゲルクマルスに進出しているんだから。

さあ、もう一度乗せてあげるから、今度こそ逃げたりしちゃダメだよ！ゲルクマルスに到着したら、真っ先にフレル代行に挨拶するんだよ。
そなたはここでたくさんの任務に就くことであろう。

また、避けられない選択を迫られることもあろう。

常にアイオンの意志を胸に刻んでおくがよい。

それだけがそなたの運命を切り開くための灯火となろう。