ところで、ゲルクマルスの滝というのは、オード飛行装置では行けない地域じゃありませんか？

そうだとしたら大変です。ご覧のとおり、私は人間なので要塞から出られません。

そもそもゲルクマルスに来ることすら禁じられていましたが、スバスド様の後援者の方のお力添えで、来ることができたのです。絶対に要塞から出ないという条件付きですが。
恐縮ですが、もうひとつだけお願いしてもいいでしょうか？

ディーヴァ様はここの地理にお詳しいようですね。

よろしければ、ゲルクマルスの滝へ行ってスバスド様がそこにいるかどうか、探してみてくださいませんか？
いやあ、本当におやさしい方なのですね。スバスド様も、ディーヴァ様のように気遣いのできる方だったらよかったのに。

ああ、だからって誤解はしないでください。あの方は悪い人ではないのです。ただ根っからの自由人でいらっしゃるだけなんですよ。

それはそうと、スバスド様がゲルクマルスの滝へ行かれたなら、たぶん滝の落ちる場所の近くにおられるでしょう。

滝の水が強く地面をたたく音がお好きなのです。もしスバスド様がいらっしゃらなければ、その痕跡だけでも探してみてください。

古い旅行かばんをいつもお持ちなのですが、もしそれがあったら持ってきてください。服や食べ物を全部詰め込んでいるので、それがなくなれば食事を求めて要塞に戻ってこられるはずです。
ディーヴァ様の帰りを待ちわびていました。

ゲルクマルスの滝に行ってみましたか？

(周りを見まわして)おひとりということは、スバスド様には会えずじまいだったのですね。
そこにスバスド様の痕跡もなかったんですか？

オード飛行装置管理兵が聞いた話が確かなら、ゲルクマルスの滝へ行かれたはずなのに……。

申し訳ありませんが、もう一度確かめに行ってもらえないでしょうか。

スバスド様は物忘れがひどいので、そこに寄ったならきっと何か痕跡を残しているはずです。たとえば、古い旅行かばんみたいなものをです。
これを見たところ、スバスド様がゲルクマルスの滝におられたのは間違いないようです。

いったい何しにそんなところへ行ったのやら。

とにかく、このかばんがない以上、近いうちに要塞へお戻りになるでしょう。

やっと安心できそうです。助けてくださって、本当にありがとうございます。