世の中は嘘と欺瞞で満ちています。

見えないものまで信じなければならない私たち神官にとっては……浅瀬が所々に潜んでいる海のようなところです。ふう……。

それで、私は徹底的な検証をすることにしてるんです。

つまり、信じ切れるまでは誰も、そして何も信じない、ということです。
それで、何事でもとりあえず疑ってかかる習慣が身に付きました。

そのおかげでしょうか？

いかに騙し上手な詐欺師でも、私には勝てません。怪しい人や様子がよく見えるんですよ。

これは最高機密ですが、実はここで取り組んでいるのも、何か怪しいものはないかと監視する任務なのです。

避難民たち、とりわけ煉族に注意しています。

煉族という種族の腹の中がまったくわからないんです。
もしかしたら……。

この中の誰かが、龍族と密かに手を握っているかもしれないのですよ。

もちろん、疑っているのは私だけではありません。

ゲルクマルス防御基地のテグラクも、煉族のことがかなり気になるみたいです。

ゲルクマルス防御基地に行く予定なら、私の話を伝えてくれませんか？

ちょうど、様子を報告しようと思っていたところなんです。
村は問題ないと伝えてください。そして水も漏らさぬよう監視していると伝えてください。

テグラクに直接報告する必要はありません、ママリアに伝えてください。

しかし、その前にソリュキンに会ってみてください。

倉庫に怪しいものを預けた者はいなかったか聞いてください。

倉庫も監視対象の1つなんです。
倉庫、使うのかニャ？

それとも、ものを取りにきたのかニャ？
怪しいものを預けにきたディーヴァなんていないんだわニャ。

ところで、今日はなぜゲーレンが来ないんだニャ？

いつもなら直接来て、倉庫をすみずみまで調べるんだけどニャ。

毎日毎日、ものをひっくり返していくもんだから、面倒くさくってニャ。
こんな遠い所まで、何のご用ですか？

もしかして、ゲーレンに頼まれたんじゃありませんか？
やっぱりそうだったのね。

ゲーレンはよくディーヴァに報告を頼んだりするそうですから。

なぜそうするのか聞いたら、自分が席をはずしている間に何が起きるかわからないから、心配で席をはずせないと答えたそうですよ。

自分の職務に忠実というべきか、疑い深いと言うべきか。

それはともかくとして、遠くまでご苦労様でした。