ディーヴァよ、平和協定を結びたくてここまで来たが、これまで何の収穫もない。

要塞の隊長はわれわれに会おうともしないのだ。このままベルスランに戻るわけにはいかない。

それに、現状ではアルトガルドから無事に抜け出せるかもわからない。

だが、われわれには良い情報がたくさんある。魔族が知っておいて損する情報は1つもないと思うのだが。

先日も言ったように、現在われわれライカン族は複数の勢力に分かれ、互いの意見がかみ合わないでいる。

われわれのように魔族との和平を望む勢力がある一方、魔族との戦いを頑固に訴える勢力もある。

とりわけ、このアルトガルドのブラック クロウ族は魔族に対して極めて敵対的だ。

要塞隊長が聞けば、興味をそそるような情報がたくさんあるぞ。
要塞隊長にこれまでの話と和平を受け入れるなら、より多くの情報を提供すると伝えてほしい。

これが最後の切り札なのだ。これが通じなければ、これ以上は方法がない。

どうか私のかわりに要塞隊長に言葉を伝えてほしい。

われわれレッド メーン族と平和協定を結べば、より多くの情報を提供するとはっきり伝えてくれ。

ライカンと魔族が戦わねばならない理由など、どこにあると思う？

戦争をやめれば双方にとって得となるはず。

ぜひとも頼む。
頼んだ仕事もないのに、今日はまた何の用だ？

まさか、先日のようなくだらないライカンの言葉を伝えに来たのか？

平和協約を結びたいと聞いて呆れはて、その場で殺してやりたいところだったが、亜人種の中ではかなり重要な地位を占めているようだったから生かしておいたのだ。

拷問すれば重要な情報を白状するかもしれない。とにかく、やつらをどうするかについてはゆっくり考えている。
亜人種とは交渉しないと言ったのに、愚かな亜人種どもはもう忘れたのか！

だが、やつらが情報をたくさん持っているというのなら、一度聞いてみる価値はありそうだ。

しかし、果たして平和協定を結んでまで得るべき情報をやつらが持っているのだろうか……どうやらパンデモニウムに助けてもらったほうがいいな。

パンデモニウムで図書館長のミミル様に会い、助言を求めてくるのだ。

この手紙を届けたあと、答えをもらって戻るように。
いらっしゃいませ。

探している物があるようですね。

手伝ってほしいことがあれば言ってください。できることであれば、最善を尽して手伝いましょう。
(スエロンの手紙を読む)

ふむ、亜人種のことなら私はお役に立てませんね。

一時期はライカンを研究していましたが、今は研究から手を引きました。

現在のライカンの政情や軍事問題については、さっぱりわからないんです。

代わりに、この手紙はバルデールに届けたほうがいいと思います。今は私じゃなくバルデール大神官のほうがライカンに詳しい専門家なんです。
神官と言っても、五柱神や信仰心にすべての時間を費やしているわけではない。

興味がある分野を勉強したり、他のディーヴァたちの生を振り返ってみたりもする。

結局、そのすべてが五柱神を慎み敬うことに繋がるのだろうがな。

それで、何の用で来たんだ？
(読み終えた手紙をたたみながら)ライカンに関係する問題だな。

彼らが複数の勢力に分けられて葛藤しているのは事実だ。

その原因が何かは確信できないが、私が見るに宗教紛争だと思う。

依然として龍族への忠誠が強い勢力、それに対し、もう龍族に仕える必要はないと主張する勢力が対立しているのだ。

龍族に仕える必要がないと訴える勢力が要塞に使者を送ったようだな。彼らは龍族との縁を完全に切りたがっているから、当然、われわれ魔族には友好的だろう。

彼らと手を組んでも、われわれ魔族に害が及ぶことはないだろう。いや、むしろ得になるかもしれない。
パンデモニウムに行ってきたか。

ミミル様は元気だったか？

私の手紙を読んでライカンについて何か話してくれたのか？
ミミル様はライカンの研究から手を引いたのか。惜しいな。あれ程の学者は二度と現れないかもしれぬのに。

とにかく、バルデール 大神官の話では、やつらと手を結んだほういいということだな。

うーむ……捕まえて決着をつけたいが、やつらと手を結んだほうが利益になるなら仕方がない。

ご苦労さん。さあ、これはお礼だぞ。