(何の特徴もない指輪だ)

(サイズが小さいので女性の指輪のようだ)

(装飾具と宝石に関心の高いデナルイントのところに行って聞いてみよう)
ああ、しまったわ。避難してくる時、お鍋と毛布しか持ってこなかったのよ。

ベンヤールにせかされなかったら、全部持ってこれたはずなのに。

洋服やら宝石やら、思い出すだけでももったいないわ。一度も履いてない新品の靴もあったのよ！
あら、これをどこで見つけたんですか？(指輪をはめながら)これは私が失くしたものよ。

(指輪が第1関節でひっかかって入らない)

うふふ、皿洗いをしてたら指がむくんじゃったみたいね。ちゃんとはめれば入るわよ。

(むりやり指輪を押し込むが、第2関節でひっかかってしまう)

あら、よく見たらデザインのダサい安物の指輪だったのね。私はこんなものつけないわ。

(指輪を投げ捨てるように渡しながら)レルアばあちゃんなら着けるかもしれないけど、誰がこんなダサいものを身に着けるもんですか！
何の用かい？

ああ、もしかしてパンデモニウムから来た手紙を持ってきたのかい？

あんなにいやだって言ったのに……。
これは何だい？指輪？これがあたしのものかって？

若い頃していた指輪に似てる気もするし。目がかすんでよくわからんのう。

(指輪をはめながら)あの頃のあたしはあまりにも人気があってね。村の若い男たちからもらったプレゼントが部屋中に転がってたもんじゃよ。

(指輪が大きすぎる)

ちょっと大きいのう。あたしのじゃないかもしれんのう？どれどれ……。

(目をこすりながら指輪を眺める)

これはあたしのじゃないね。サイズも合わないが、あたしはこんな地味な趣味じゃないからね。

しかし、この指輪どこかで見たような気がするんじゃが……おお、そうじゃ。以前ミドヘイムがつけているところをみたような気がするよ。

ちょうどすぐそこにいるから直接確認してみなさいな。
昨日はロテナンが結構まともなことを口にしましてね。

「お母さん、あまり心配しないで」って……。

正気に戻ったかと思いきや、今日はまたもとに戻ってしまいました。

症状がよくなったり悪くなったりするから、ますます焦ってしまうんですよね。

それでもいつかは以前のロテナンに戻ってくれますよね？
(涙ぐんで)これをどこで見つけたんですって？アムスニル氷湖ですか？

そうです、私の指輪……夫の首にかけてあげた結婚指輪です。幸運が共にあるというから……。

こうして夫の遺品を見つけてくださってありがとうございます。

何かお礼がしたいのですが、これしかありません。