ゴホッ、ゴホッ、風邪ぎみのせいか、寒気がして咳が止まらんのじゃ。

こんなときは、アツアツのシーフード スープを飲めばすぐ元気になるのにのう。

ぷりぷりのキャンサリードの前肢と柔らかいロブナイトの身を入れて辛く煮込んだものじゃ。

避難民生活をしている年寄りがわがままを言ってるように見えるんじゃろうが、若い人にはわからないもんじゃ。

先が短くなると、子供の頃に食べた母さんの料理や、若い頃食べたごちそうが食べたくて仕方なくなるもんじゃよ。
信じられないかもしれんがあたしが幼い頃にはね、アムスニル氷湖にはキャンサリードやロブナイトが溢れかえっていたんじゃ。水がすごくきれいじゃったからのう。

キャンサリードはやけに甘くて身が詰まってるもんだから、1匹でも5、6人の家族がお腹いっぱい食べられたんだよ。

でも、何といっても辛い香辛料をたっぷり入れて辛く煮込んだシーフード スープほどうまいものはなかったのう、うむ。

二日酔いを一気に治してくれるスープに、いろんなシーフードまで入ってのう……ゴックン。食べてる間に誰かが死んでも気づかないほどうまかったのう。
話したせいで、もっと食べたくなってしまったわい。

ここは、この年寄りのためにひと肌ぬいでくれんかのう。

キャンサリードの前肢とロブナイトの身を手に入れてきてほしいんじゃ。

そうしてくれたらあたしが気合を入れて作ったスープを1杯ごちそうしよう。
本当にいいのかね？優しいディーヴァ様じゃのう。

アムスニル氷湖に行けばレイク キャンサリードとフロスト ロブナイトがいるはずじゃ。

それらをつかまえて、前足と身を持ってきてくれんかのう。

できるなら新鮮で大きいやつを捕まえてきておくれ。色も鮮やかで身の詰まったものほどおいしいんじゃ。

それからパンデモニウムの料理商人 ダライアが売っている香辛料も持ってきてほしいんじゃ。あれがないと、本物の味にならないんじゃ。
あらまあ、どうしたんだい！

この年寄りのためにシーフード スープの材料を採りに行ってくれたディーヴァ様じゃないかい？

いらっしゃい。いまかいまかと待っておったんじゃよ。
年寄りをからかってるのかね？

さんざん期待せておいて、今になって知らんぷりするなんてのう。

ふざけてないで早く持ってきておくれ。
キャンサリードの前肢がぷりぷりして、結構食べ応えがありそうじゃのう。

ロブナイトの身もはちきれそうにぷるんぷるんして新鮮じゃ。

よし、辛い香辛料も忘れずに持ってきたんだね。

本当にありがとう。さっそくシーフード スープをひと鍋煮込むとしようかね。