だいぶ前から知っていた。バルタザール様のお言葉を通じて。

西のほうの汚染された沼のむこうに、生き残った兄弟がいるということを。

しかし、もうあとわずかしか残っていないのだ、汚染にひとりずつ倒れていって。

できるのなら彼らを探して助けてあげたい。
いつも辛かった。私ひとりだけが無事だということが。

私の頼みを聞いてくれ、親切なディーヴァよ。

苦しんでいる兄弟を慰め安心させてやってくれ、マガロ原始林にある腐敗した緑地へ行って。

村に人々が来たということを知らせよ、ブルストホーニンを救うために。

その話を聞けば、希望が抱けるだろう。
バルタザールの村の西のほうの道を辿って行け。

兄弟がいるだろう、マガロ原始林の腐敗した緑地に。

バルドムス、ドルヨダナ、サルカド、パディナルが私の兄弟だ。

それからこのことも伝えてくれ、ネリゴールはひと時も気楽でいられなかったと。

いつも兄弟を想い、助けてあげたかったと。
ううっ……エリムはいつも我慢してきた。

土地を離れないで、辛抱強く耐えた、どんなに苦しくても。

われわれはやれるだけやった、長い月日の間。

しかし、これ以上は無理だ……一刻も早く大地の懐へ戻りたい気持ちでいっぱいだ。
よくわかっている……ネリゴールの気持ちは。

ありがたく思っている、直接来てくれたディーヴァに。

でも、もう少し急いでほしい、本当にわれわれのためを思っているのなら。

長くは持たないだろう、あまりにも疲れ果てて。
ううっ……かゆい、痛い……。

汚い毒気がしみ込む、私の枝と根に。

ううっ……私の枝をかいてくれ、ディーヴァよ。
ネリゴールとは、誰だ。

ううっ……思い出せない。

私の心配は要らない、ディーヴァよ。

私は生き残った、モスキーの攻撃の中でも。
苦痛の中でも感じている、東のほうから吹いてくるバルタザール様のエネルギーを……。

汚染と毒気にも屈さない生命のエネルギー……。

エリムはなくならない、たとえ私が死んでも。
希望は裏切られなかった。

われわれに背を向けなかった、バルタザール様は。

君はエリムの友……光る羽を持っている人だ、とても昔に見たことがある。

君なのか、われわれに希望を与えるためにやって来た人は。
見ていた、君が疲れて病んだエリムに話しかけているのを。

どんな話を伝えたのか、哀れな私の兄弟たちに。

長い間ディーヴァに会ったことがない。

疎外されて、苦しんでいるわれわれに会いに来た理由は何なのか、ディーヴァよ。
ありがたく思っている、君が直接来てネリゴールの話を伝えてくれたことを。

十分に伝わった、ネリゴールの気持ちが。

おそらく、二度と戻ってこないだろう、われわれが幸せだった過去の姿は。

しかし、新しい将来が描けそうだ、君が伝えてくれた便りのおかげで。