おまえの持ってきてくれた真珠は私の心の支えになった。

青い真珠のおぼろげな輝き、ささやくような歌声は私の悲しみを癒してくれた。

ふと思ったのだ。青い真珠で何かを作れば、恋に破れた私の心の傷も癒されるんじゃないかと。
それで、青い真珠を1粒1粒糸に通してドレスを作ることにしたのだ。

真珠貝の苦痛が青い真珠に生まれ変わったように、私も青い真珠で作ったドレスを着て生まれ変わりたい。

頼む。青い真珠を集めてきてくれないか。
知ってのとおり、青い真珠はアールキナ宮殿のいたるところにいる真珠貝が持っている。

真珠貝の苦痛を癒し、その涙を私に届けるのだ。

真珠を取りに来た他のセイレンたちには気を付けるのだ。無事を祈る。
遠くからセイレンの歌声が聞こえる。

真珠貝の苦痛を癒す歌だ。

私の心も穏やかにしてくれる歌声。

ところで、手に入れてきてくれたのか？真珠貝の涙、青い真珠を。
なぜまだ手に入れていない？

今は青い真珠の色が最も美しい季節。

青い真珠を私に届けよ。

青い真珠のドレスが作れるように。
見よ、真珠貝の涙を。

想像を絶する苦痛に耐えて醸し出した美しい色を。

青い真珠のきらびやかさは、そうやって作られるのだ。

受け取れ、感謝の印だ。

私の頼みをふたつ返事で聞いてくれたおまえの優しさが、私の心を癒してくれた。