それにしても症状がぴったり合致します。

ちょうど別のところでもこれに似た症例があったので治療薬を作っていたんです。

エリムの実をアフィタンの毒液に浸してから、すりつぶして塗るんです。

話し出したらキリがありません。この薬を作るためにどれだけ苦労したか。

インギスオンに来てから、およそ1か月も費やして作った薬ですよ。
でも、ひと足遅かったですね。

薬を切らしているんです。

ゆがみの森にいた学者たちに同じ症状が出たので、全部持っていっちゃいましたよ。

たぶん今ごろは全部塗ってしまっているでしょうね。もともと、そんなに量はなかったですし。
また軟膏を作るためには材料が必要ですが、今はもう少しも残っていません。

そんなに作ってほしいのであれば、こうしてはどうでしょう？

あなたがアフィタンの毒液を探してくるんです。

もともと人に善意を施すということには困難が付き物です。面倒だとは思いますが、仕方ないですよね。
さっきも言いましたが、一番重要な材料はアフィタンの毒液です。

それだと突き止めるために、本当にあらゆる実験を行いました。

偶然、アフィタンの毒液がついた服の裾に試薬を落としたせいで発見できたのです。

まったく、神のお導きだとしか言いようのない幸運でした。
アフィタンの毒液は持ってきましたか？

考えてみれば、これからも患者は増えるかもしれないので、この機会に軟膏をたっぷり作っておかなくては。

あれは一種の風土病だし、あらかじめ対策を立てておくべきですよね。
アフィタンの毒液がどこにあるというのです？

私にはいくら探しても見えませんが。

やれやれ、子どもじゃあるまいし……来る途中で落としたのですかね。

また行ってきてくださいね。
これぐらい量があれば十分です。

アフィタンの毒液がネバネバしていますし、きっと効果があるでしょう。

ご苦労さまです。