わしは、今はこんな姿でさまよっているが、かつては天下に名を轟かせた龍族の首長だった。

わしに仕えていたクラルもまたディーヴァに捕われ、屈辱を受けていると聞いている。

特に、わしの忠実な部下のウルラグル……。
ウルラグルは、クラルの中でも名高い勇者だった。

彼について聞いたことがあるのであれば、それは勇猛に戦って息絶えたクラルの英雄だからであろう。

もし彼が生きているのであれば、彼の首長 バラカが死に切れず、悲惨な運命を背負ってさまよっていると伝えるのだ。
彼が生きているのであれば、バラカの精神を忘れるなと伝えてくれ。

忠義を持つクラルの英雄、ウルラグルは、確か死んだはずなのだがな。

時代を股にかけていた者は、その時代が終わると消えるものだ。卑屈に生き延びようとしないからな。
ウルラグル、腹減ったよ。

ご飯くれっ！

俺が大好きなクラルの戦闘食はないのかぁ！
......

(ウルラグルが何も言わず、ションボリと立ちつくしている)

(ウルラグルの様子がおかしい)

(クラル研究家のマメイアに聞いてみよう)
ウルラグルは、とても長生きしているクラルです。

かつては龍族に仕えて戦っていたウルラグルですから、こうしてディーヴァに飼育されている現状を恥ずかしく思っているはずです。

もちろん、今となってはすべての過去を忘れ、食べることしか頭にない、飼い慣らされた動物そのものですが。
それで、ウルラグルがあんなに落ち込んでいるのですね。

昔のことを忘れても、かすかに過去の記憶は残っているんです。だからバラカという名前を耳にすると、今の自分の状況に恥じ入ってしまうのだと思います。

ですから、ウルラグルにそんな話はしないほうがいいでしょうね。

とはいえ、私にとってもウルラグルの過去についてのお話は参考になりました。ありがとうございます。