ID: 730127
ディーヴァ、彼らの特権
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レベル: 1
HP: 63
攻撃半径: 0m

Dialogs:

ディーヴァ、彼らの特権

ディーヴァの享受する特権によって苦痛を強いられる人間の話は、いまさら敢えて声高に叫ぶまでもないものだ。

「ディーヴァの使命」とは単なる華麗な修飾に過ぎず、それを真に実践するディーヴァはほとんどいなかった。

この事実を確認するためにあれこれ語る必要もない。

広報官が明かさないいくつかの事件の全貌を聞くだけで、十分だからだ。

―覚醒したディーヴァの婚約解消、このままでよいのか!

先日、天界では悲劇的な事件が起きた。

婚約者がディーヴァに覚醒した後、相手の女性に婚約解消を求めた。これに悲観した女性は崖から飛び降りて自殺した。

しかも、彼女は臨月の妊婦だったことが判明し、人びとをより悲しませた。

実に痛ましい事件だったが、さらにひどいのが一部のディーヴァの反応だった。

彼らはそんなことは珍しくもなんともないと言って、女性の愚かさを非難した。図々しく婚約解消を要求した男性のことには一言も触れなかった。

しかし、ディーヴァの使命とは、一体なんなのだ!

神に代わって人間を保護することが、彼らの任務だったのではなかったか。

ところが、いつからか人間の配偶者のシワが嫌になったといって別れを求めることは当然の事のようになっていた。

さらに悔しいことは、この世で誰ひとり、このようなことを問題視しなかったことだ。

その結果、このような犯罪が暗黙のうちに認められていた。

―神の黙認のもと、毒キノコのように広まる覚醒訓練機関

覚醒訓練機関というものについて、聞いたことはあるだろうか?

覚醒訓練機関とは、ディーヴァに覚醒するための訓練機関で、最近天界の水面下で増加している。

彼らは効果が検証されていない手法を使い、子どもから老人までディーヴァになるためにやってきた人びとから高額の訓練費用を騙し取っていた。

もちろん、現在の世の中にあってはディーヴァに覚醒しない限り、生きていくことが厳しいということは十分に理解できる。

龍族に加え、魔族まで加わった長い戦争によって、アトレイアの生活環境が徐々に疲弊していったからだ。

しかし、これを読んでいる読者に問いたい。

生活を切り詰めてようやく集めた教習費を握り締め、猫も杓子もディーヴァになるといって集まった人間たちに問題があるのか?

それとも、このような状況を利用してひと儲けを企む訓練機関に問題があるのか?

それとも、このすべてを知っていながら沈黙する神に問題があるのか!

この問題に対しては、合理的な批判がある。

天魔戦争で勝利するためにできるだけ多くのディーヴァが必要なのは事実であり、そのために神はこのような非合法的な訓練機関を黙認しているという批判だ。

―本分を忘れた聖なる守護者

エリュシオンで発生した前代未聞の詐欺事件を覚えているだろうか。全員がひた隠しにする聖なる守護者詐欺事件のことだ。

彼はディーヴァの儀式においてディーヴァに祝福を与えるという地位を利用して、数千人におよぶディーヴァから巨額のギーナを受け取った。

短い期間に手柄をたくさん立てられる方法を教える、と嘘の情報を提供し、ギーナだけを騙し取った事件である。

もちろん、ディーヴァになったばかりの何も知らない人びとは、彼の地位を信用してまんまと騙された。

裁判において彼は、ディーヴァとしての品位を保ちながら永遠の人生を生きていくためにはたくさんの財産が必要だったという、なんとも図々しい言い訳をした。

―居住地分離運動に見るディーヴァの特権意識

あるとき、一部のディーヴァが行った居住地分離運動は、ディーヴァ社会に横たわる問題を露呈した事件だった。

その運動の要旨は、ディーヴァと人間の生活空間を徹底的に分離しようというものであり、その主張の根拠は2つだった。

1つ目は、ディーヴァと人間はそれぞれ異なる人生を生きていくため、彼らだけの教養、彼らだけの文化、彼らだけの生活空間があるべきだというものだ。

2つ目は、人間はディーヴァのものを盗むばかりか、伝染病を移すので通行を制限すべきだというものだ。

本当にバカバカしい発想であるが、とにかく彼らは自分たちの信念が正しいと思っていた。

結局、居住地分離運動は強く反対され、これを主張していたディーヴァたちは誤解だった、悪い意図はなかったとごまかした。

しかし、これを一部の心無いディーヴァの単純な言葉のミスとして片付けるには、釈然としない点が残った。

なぜなら、当時居住地分離を主張していたディーヴァの中には、エリュシオンの高位職に就いていたディーヴァも複数含まれていたからだ。

現在、居住地分離運動はその姿を消したが、いつまたこのような危険な思想が浮上するかわからない。

自分たちが神に選ばれた特別な存在であり、人間より優れていると思っているディーヴァたちがいるかぎり、その危険が消えることはない。

―ディーヴァ社会の腐敗は、天界も魔界も同じ

現在のアトレイアでは、能力より家門の成功が重要な基準になって久しい。

この言葉は、ディーヴァたちの間にも差別が存在することを意味する。

例えば、魔界のパンデモニウムにはバナハル地区というところがあった。

そこはいつも華麗なネオンがきらきら光り、美しい音楽が流れているところで、代々ディーヴァを輩出している家系が多く住んでいた。

代々ディーヴァが輩出される家系は、政略結婚をすることで強力な人脈を作り上げ、その人脈を利用して要職を独占していた。

また、自分たちの職位を利用して得た情報で、莫大な富を築きあげた。

そればかりではない!彼らの子どもたちは定職を持たず、贅沢ばかりしていた。

結界が開いて龍族が攻めて来ようが来まいが、彼らは毎日のように宴会を開き、飲み食いに明け暮れていた。

さらには、法律を破っても言い逃れをする。逆にそんな彼らに微塵でも損害でも負わせてしまった日には、決められた刑の何倍もの刑期で牢獄に入れられるのだった。

―より良い未来を考えるべき時

しかし、読者よ!人間の命はいずれ最期を迎えるが、ディーヴァの命は永遠である。

人間全体の中でたった何人かがディーヴァに覚醒するとしても、アトレイアの長い歴史においては遅かれ早かれ人間よりディーヴァの人口が多くなることは簡単に予測できる。

いや、すでにディーヴァの数が人間の数を追い越したという主張もある。

これを認めるなら、今はディーヴァとしての特権を主張する時ではなく、より完全なディーヴァになれる道を探る時である。

すべての人間がディーヴァになり、平和な楽園を築き上げるような道を……。

幸いにも、アトレイアの未来のためにいま何が必要なのかということを正確に理解している集団があると聞いた。

彼らはレパル団という先覚者たちだ。

万が一、いまのアトレイアが間違った道を歩んでいると思っていたり、神の意志に疑問を感じたりする人は、いつでもレパル団を訪ねるといい。

彼らは、あなたがディーヴァであろうが人間であろうが、両手を広げて歓迎してくれるはずだ。



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