煉族の元老と私、カルンは、血の玉座で目の当たりにした魔族の醜態に大いに失望させられた。

今すぐにでも君たちを煉族の地から追い払いたいところだが、元老たちとの相談の末、今はそのことに関して何も追及しないという決定を下した。

まずは団結してシエルの遺物を取り返すことが煉族と魔族、双方にとって最優先の問題だからな。

それに、イズラフェル神が遺物を何に使うつもりなのか、誰にもわかっていないだろう？

神の地位にあれば何をしても許されるということはない。その正体を隠し、レパルとして生きてきたのであればなおさらだ。
だからこそ、シエルの遺物は必ず取り返さなければならない。

だが、忘れるな。シエルの遺物は煉族と魔族がともに取り返すものだ。つまり、一方的に所有権を主張するのは許されないということをな。

プレーヤー。煉族と多くの信頼を築いてきた君だけは、自分の利益ばかりを考える魔族とは違うと信じたい。

だから、進行状況を常に煉族と共有しながら、緊密に協力してくれ。

血の玉座でマルクタン神は代行者に手がかりを届けさせるとおっしゃったのだから、まずはアイマのところへ行け。

われわれ煉族もイズラフェル神の行方を捜すため、努力を惜しまないことにしよう。
プレーヤー！待っていたわ。

ちょうど神殿から、マルクタン神が抽出した不安定な次元の痕跡が送られてきたところなの。

次元の痕跡を利用すれば、イズラフェル神を追跡できるわ。

そこでなんだけど……煉族からの信頼を今でも受けている君にやってもらいたいことがあるの。
不安定な次元の痕跡をカルノンに届け、この痕跡が持つ波長を分析するように頼んでほしいの。

痕跡について突っ込んだことを聞いてきたら必要最低限の情報だけで返し、他のことはまだわかっていないと答えてね。

なるべく煉族の力を借りず、静かに片付けたかったんだけど……煉族の高位魔法士の協力は欠かせないから仕方がないわね。

分析が終わったら、不安定な次元の痕跡は必ず持ち帰ってくるのよ。わかった？
次元の痕跡だなんて……イズラフェル神の消えた空間から、その痕跡を抽出したということですよね。

理論上では可能だと聞いていましたが、実際にそんなことができるなんて……神の能力は、まさしく想像を絶するものですね。

わかりました。この痕跡は、煉族魔法士協会の諮問を求めて迅速に分析いたします。

ところで、波長の分析が終われば次元の痕跡を利用できるのですか？どうやるのですか？
そうですか……。

(カルノンはしばらく考え込んだ)

そうだ、プレーヤー様。神秘的な水晶玉を利用し、前にイズラフェル神がいらした空間をもう一度、確かめてきてくれませんか？

もちろん、そこにいらっしゃるわけはないんですけど……もしかすると、別の手がかりが残っているかもしれませんから。

その間に私は、魔法士たちを手伝って次元の痕跡を分析することにします。
もう少し遅かったら、きっと一生、呪いから逃れられなくなっていたと思います。本当に大変なところでしたね。

これほどまでに強力な呪いとなると……きっとイズラフェル神によるものなのでしょうね。

自分を訪ねてくる者を石に変えてしまうために……。

イズラフェル神よ、一体どんな計画をお考えなのですか……。
ふう、シエルの遺物の捜索を急がなければなりませんね。

次元の痕跡の波長分析ですが、ちょうど終わったところです。

妙なことに、アニズの森の時空間が持つ波長と同一の波長を放出していました。

ふむ……今の状態では、この結果が何を意味するのか解明できる気がしません。

私たち煉族が、この痕跡をもうしばらく研究してもいいでしょうか？
それなら仕方ありませんね。

痕跡はお返しいたします。分析結果と一緒に、アイマ様に届けてください。

それから……プレーヤー様。

これはプレーヤー様を信頼しているからこそ申し上げることです。もし、魔族が煉族に隠していることがあるのなら、必ず話してください。

また信頼にヒビが入るようなことが起きれば、魔族と煉族の関係は本当に修復不可能になってしまいます。
アニズの森の波長と同じだと言っていたのね！

ご苦労さま。もう、イズラフェル神とシエルの遺物は見つけたも同然ね！

これでもう煉族の助けは必要ないから、ずいぶん楽にやっていけそうだわ。