プレーヤー、もう1つだけお願いがあります。

今度、ミソリンと婚約パーティーをすることにしたんです。

その日に着るドレスをミオンヌに頼んでおいたのですが、とても取りに行く時間が作れません。
それで、あなたにお願いしたいのです。

私は命令がない限りゲルクマルスから出られないので、代わりに注文したドレスを取りに行ってください、プレーヤー。

もちろん、経費も含め、お礼は充分にしましょう。
ミオンヌが誰かわかりますか？バナハル衣装室のブランド衣装デザイナーのことです。

このキョルビンの使いだと言えば、注文したドレスを渡してくれるでしょう。

それにしても、女性の好みはみんな似ていますね。ミソリンが欲しがるドレスのデザインは、ルセナが……。

(はっとして)ハハハ、何でもありません。さあ、注文したドレスを取ってきてください。

ドレスはそのままミソリンに届けてください。ミソリンが着た姿を、一刻も早く見たいですから。
プレーヤー、なんなの、その格好？

今のファッションじゃプレーヤーの魅力をまったく活かしきれていないわ。

来たついでに、1着作ったらどう？デオールに今期の新作を見せてもらいましょうよ。
ああ、そのことで来たの？

(服箱を渡して)受け取って、キョルビンの注文したドレスよ。

でも、なんで前回と同じドレスを注文したんでしょうね。

普通、女の人は同じドレスを何着も作ったりしないのに……特にルセナは、他の人が自分と同じ服を着るのをイヤがるのにね。

ルセナのこと、知らないの？キョルビンの奥さんよ。厳密に言うと、二番目の奥さんということになるのかな？

ディーヴァに覚醒したとたん、人間の奥さんを捨ててルセナと結婚したから、一時はバナハル中で騒がれてたのに、あなた知らなかったの。まあ、あちこちを転々していて忙しかったんでしょう。

それじゃ、このドレスちゃんと届けてね。頼んだわよ！
もしやプレーヤー様ですか？

やはりそうなんですね。こんなところで会えるなんて。お会いできて光栄ですわ。

ふふ、プレーヤー様は私を知らなくて当然です。私はプレーヤー様がディーヴァの儀式を行うとき、見物していたんですよ。

ところで、私に何かご用でしょうか？
(冷たい顔で)キョルビン、彼を手助けしたのがプレーヤー様だったというわけですね。

まあ、既婚者だと知らずにされたことのようですから、許しますわ。

私はキョルビンが既婚者であることを最初から知っていました。どうしてって……私が、彼の最初の妻だったからです。

ディーヴァに覚醒したとたん、私を捨てたのです。それもとても容赦なくね。だから、歯を食いしばって、復讐のためにがんばりました。

アイオンが不憫に思ってくださったのか、私もディーヴァに覚醒することができました。

それで名を変え、顔を変え、キョルビンの後を追ってここまで来ました。

(ドレスを引きちぎって)キョルビンには気づかれないようにしてください。一番幸せな瞬間に奈落に突き落として、もっとも深い悲しみを味あわせてやるんですから。
プレーヤー様のように有名な方にお会いできて光栄です。

ところで、パンデモニウムにはどんなご用でしょうか？私はゲルクマルスへ旅立たれたと聞いていたのですけれど。

ああ、私の夫もそこにいるので、ゲルクマルスの話を少し耳にしたものですから。
なんですって？キョルビン、あの男！

最近、手紙が途絶えていたのですが、そんな真相があったのですね。

(ドレスを見て)ちょっと、これは結婚式のとき私が着たものと同じじゃない！

許せない、キョルビン！すぐにゲルクマルスへ行きます。

こんな重要な事実を教えてくれてありがとう。
ミソリンが気に入ってくれるとは、本当によかった。一刻も早く彼女のドレス姿が見てみたい。

(急にため息をついて)はあ、その前に例の件を片付けなきゃな……。

あっ、ただの独り言です、気にしないでください。

これをお受け取りください。約束していたお礼です。特別に沢山入れておきましたからご確認ください。
(顔が真っ青になり)ルセナにミソリンの話をしただと？

あんた、何の権利があって、こんな仕打ちをするんです？

ルセナのことだ、すぐにとんでくるぞ、どうすればいい？

いや、私に後ろめたいところなんかないんだ。むしろよかったぞ。この機に別れを切り出さねば。

さあ、受け取って。渡したい気分じゃありませんが、約束は約束なのでお渡ししましょう。