この記章に刻み込まれた紋様は間違いなく魔族のものだ。

あせた色合いに、細かい傷……どう見ても、長い間誰かに使われていた痕跡がある。

幻影ならば、こんなものを持っているはずがない。
この記章から、かすかなエネルギーを感じる。

遠い昔に失われた力、時間の力だ。

魔族のディーヴァが時間の力の宿ったものをどうやって手にしたと言うのだ？

プレーヤー、時間のディーヴァ、イングリルにこれを届け、真実を明かしてほしいと伝えてくれ。
これは重要な証拠品だが、少しの間だけ君に預けよう。

上層部に報告しなければならない品だ。用が済んだら、必ずまた持ってきてくれ。
(顔をひそめながら、かろうじて言葉を続ける)これは……。

間違いなく、これは幻影ではなく実体を持つ魔族のディーヴァのものです。

ここに宿っている力は大崩壊の時に別れた私の姉妹……イングネスの力……。

彼女もやはり時間のディーヴァ……しかし、今は魔族の仲間になってしまったのです。

これは……魔族の……テンペルの幻影を渡ってきた者が持っていたものですね。
幻影に開いた巨大な隙間からバンクが生まれます……魔族のスパイもその隙間を通ってくるのです……。

スパイが手にする剣は幻影ではなく本物です……。

ふぅ、疲れました。

これをラオメドン様に届ければ……あなたがお探しの答えをくださるはずです。
イングリルがそんなことを言ったのか？それを解き明かした君を叱るべきか、褒めるべきか、わからんなあ。

第1、2テンペル訓練所に現れたバンクを覚えているか？やつは幻影の空間に問題が発生したという証なのだ。

訓練所にできた亀裂の隙間は天界と魔界を繋げるばかりか、龍界にまでも繋がっているのだ。

われわれカイジネル テンペル訓練所は、どんなことがあってもこの状況を防ぎ、敵陣へと進む足がかりにせねばならん。
亀裂は敵が侵入できる弱点ではあるが、逆に考えれば、われわれが龍界や天界に進撃する通路でもあるということだ。

それで、亀裂が出来た空間に第3テンペルを開き、わざと多くの訓練生を送り込んでいたのだ。

訓練生たちは実践に近い訓練をしながら、知らず知らずのうちに亀裂を監視する任務を行っていたことになる。

だがプレーヤー、このことは機密事項だ。

君も神の命に従う義務がある。これは君の手で破棄し、私が伝えた事実は黙って心の内にしまっておいてくれ。
よくやった！

いつまでも訓練生たちに隠しておくつもりではない。ただ時間が必要なだけだ……。

プレーヤー、さきほど交わした会話について沈黙の誓約をしてくれるか？
君のような者がまた現れることを期待しているぞ。

ただ与えられた枠の中で訓練だけを繰り返すのではなく、自らの手で疑問を解き明かそうとする者がな。

そのような者が現れたときは、君と同じように第3テンペルの秘密を明かしてやろう。

沈黙の誓約を済ませたプレーヤーに、カイジネル神の祝福のあらんことを！

いつの日か、亀裂を利用してあの忌々しい敵どもを倒さんことを！